ハムスターの腫瘍

ハムスターの比較的多い高齢疾患の一つが腫瘍ですが実際の診察でも一歳半を過ぎてくるとやはり腫瘍絡みの疾患は多いなぁと思います。そんな最近の症例を紹介します。

症例はもうすぐ2歳になるゴールデンハムスターの女の子です。飼い主様はよく触られて観察される方です。稟告としてお腹が張っている気がする、少し元気がないでした。確かに腹部膨満が軽度に見られ触診でシコリ感がありました。腹部エコー検査で低エコー性腫瘤と軽度に腹水があり腫瘍疾患の可能性が高いとお話ししました。精査としては針生検になるのですが凄く動くので危険と判断し麻酔下で生検か開腹して脾臓や肝臓に一部、リンパ節など切除可能であれば根治を含め手術をお勧めして手術となりました。

開腹してその腫瘤が腫大した空腸リンパ節を疑い完全切除は不能と判断して針生検して院内検査とし、部分切除して病理へ出す事に。リンパ腫を疑いましたが針生検では間葉系の細胞で、病理組織検査では同様の結果でGistか肉腫の転移では?との事でした。確定診断できた事で予後や治療方針が立つのでやはり身体は小さいとはいえ麻酔下の処置は大切だと改めて思った症例でした。

急な呼吸困難とストライダーを認めた気管虚脱(TC)

最近ご無沙汰の気管虚脱の症例を紹介します。6歳のチワワです。かかりつけ医からのご紹介でした。2週間くらい前から急に呼吸が慢性的に苦しくなっていつもの動物病院で酸素室にて管理するまでになっていた症例です。常にストライダーを認め苦しそうにしていました。この症例の特徴としては咳では無く呼吸困難が主訴でした。鑑別診断としてTC以外に短頭種気道症候群、喉頭麻痺や気管内腫瘍などがあります。レントゲン検査等で頸部気管虚脱グレードほぼ4でした。胸部から気管支の異常は無く手術適応と判断し近日手術になりました。

術後の経過も良く呼吸も安定しています。これからも慎重に経過を診ていくつもりです。ご紹介ありがとうございました。

今年度の研修 CT読影

早いもので2月の中旬になりもうすぐこの雪かきから解放されるのかなと思うと嬉しく感じます。今年度は水曜日休診とさせて頂き4月の来年度は月曜日休みに戻る予定です。今年度早い毎週本州に整形外科をや軟部外科など外科中心に勉強していましたがもう一つ集中して研修していたものがあります。それがCT読影になります。まだまだCT検査が出来る施設は少なく検査が出来ても読影は外注の事も多く見られます。本院ではCTの導入とその読影をその場で行い迅速な外科処置に対応出来るよう準備しております。来年度以降もCT読影の精度を上げ早く導入出来るよう努めてまいります。CT検査の読影におけるセカンドオピニオン戻るこれから受けることも可能になりますのでお気軽にご相談ください。

お正月休み

今年も残りわずかとなりました。本院は12/29-1/3まで休診となります。1/4は診察初めとなりますが診察は15:00までとなります。本年もお世話になりました、来年もよろしくお願いします。

ジャックラッセルのポリポーシス

ジャックラッセルに消化器にポリープを多発する病気がある事をご存知でしょうか?この病院は遺伝性で特定の家系で多発しています。つまり獣医師が発見してこの病気を疑いジャックラッセルの親や子供を特定して繁殖を止めることが出来れば失くす事が出来る病気でもあります。臨床症状は慢性嘔吐などでエコーで見つかることが多いと思います。奈良の米地若菜先生と岐阜大学で共同研究して遺伝子まで特定しています。もしかしたらと思ったら相談されてはいかがでしょうか?特に胃と十二指腸に多発して特徴的なポリープを作りますので疑いやすい病気と思います。外科手術も時に必要になりますが最初から積極的なビルロートIIやルーワイ法でオペしてしまうと必ず再発してしまい次に打つ手が無くなりますので相談してもらいたい症例になります。

早くこのような病気がなくなる事を祈って共有させてもらいます。

未来の獣医さん?

先日近くの小学校での質問を受けてそれに対して返答させてもらいました。それに対してお礼のお手紙をもらいほっこりしました。動物病院に、獣医さんに興味を持ってもらえて嬉しかったので共有したいと思います。

後肢の破行、前十字靭帯断裂

時々急に後ろ足の歩き方がおかしい、挙上しているとの稟告で来院される患者様がいます。原因は多々あるのですが最近前十字靭帯断裂月立て続けに見る機会があるので共有したいと思います。一般的に小型犬で後肢の破行で有名なのは膝蓋骨内包脱臼(MPL)ですよね。MPLでオペが必要な症例の多くは若齢期です。なぜならば先天的な異常ではないかと言われているからです。なのでほとんどのMPLの子は脱臼していても歩けています。なのでそのまま成長して中年齢以降で破行してMPLが原因とはなりにくいと思います。しかしMPLがあると後肢の内旋が強くなりそこを制御している靭帯月切れやすくなると言われているのが前十字靭帯です。これが切れると関節内に関節液が溜まったり、脛骨が前滑りしてしまいます。それをレントゲンで見つけて診断します。

術式は色々あって強い糸で外側から固定したり、骨切りしてプレートで固定して脛骨高平部を水平にしたりなど。ここで大事なのは関節内の半月板、それが気づいていたらそれを処理しないと術後痛みが残って破行が良くならないのです。以下の症例は幸運にも半月板のトラブルはありませんでした。本院ではMPLがある子では希望されれば同時にMPLの手術をする事も多いです。

最近何故か多いですね🤔

11月の臨時休診日

11/9日火曜日ですが本院臨時休診日とさせて頂きます。よって次の日の10日は水曜日は通常休診日なので11/9-10日の2日間の休診となります。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。

2歳11ヶ月齢の重度気管虚脱

先週緊急手術になった症例を共有したいと思います。年齢は2歳11ヶ月齢のポメラニアンの子です。この子も遠くから来てくれました。数日前から急に呼吸困難、咳で近くの病院て気管虚脱と診断されてかなりの呼吸困難でICU管理されていたみたいです。他にも基礎疾患がありそうで好中球は1000を切っていてかなりぐったりして来院されました。

レントゲンでは頸部気管が確認出来ないグレード4でした。しかし頸部以外の気管は問題なかったのでうまくいくと将来投薬もなく普通に生活出来ると判断しました。状態がかなり悪かったのですがオペをしないと助けられないと判断してオペを行いました。

術後の経過は順調で吠える事が多くなってしまって少し早めに退院となりました。今のところは順調でほっとしています😊