気管虚脱とは


気管虚脱のグレードと手術適応

上記の図の通り気管が虚脱している程度によりグレードを分けています。最近では腹側気管軟骨が逆転して背側にせり出すパターンもありグレードⅤと判断しています。手術適応は軟骨が軟化してくるグレードⅢ以上としています。気管虚脱後発犬種はポメラニアン、チワワ、ヨークシャーテリア、トイプードル、マルチーズ、柴ですがどんな犬種でもなりえます。稀ですが猫でもいます。最近診察して特にチワワは喉頭虚脱や時に喉頭麻痺を併発刷る事が他の犬種より多いと感じています。併発していると術後のトラブルや他の手術も必要になり重篤になりやすいと思われます。注意が必要です。


気管虚脱の部位と手術適応部位


手術出来る範囲は第2肋骨までなので上記の図であれば頚部気管となります。頚部気管は主に吸気時に虚脱しやすいため空気が肺に入らないため重度になると咳だけではなく酸素飽和度も低下し生命維持に関わるため危険です。逆に胸部から気管支は呼気時に虚脱するため酸素は肺に入るのですが、虚脱による咳が多発し生活の質(QOL)がかなり低下します。手術適応となる頚部気管だけではなく気管支虚脱があると術後舌色がよくなり呼吸は出来るのですが咳が残る事があるのは知っておかなければいけません。また胸部以降の虚脱がある多くは高齢であり同時に慢性気管支炎などの気管支疾患も併発することが多く難治性の咳を経験します。以上のことからも胸部~気管支の虚脱が起こる前に手術を実施する、つまり出来るだけ早く、10歳未満での手術が望ましいと判断されます。

手術をした症例は一部ブログで紹介しています。よろしければそちらも参照してください。


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