フロートプレート法:骨折治療の新たな術式

骨折治療とは

施設写真

人の場合の骨折では骨折だったとしても変位がすくなければ外固定で済む場合も多いと思いますが動物が骨折の場合ほとんどが手術が必要となります。それはなぜかというと人では変位の少ない骨折が多いことと医師の指示に患者様が従うということが大きく違います。また、動物の筋肉量は人のそれと比べ物にならないくらい多くアスリート並みといえます。筋肉量が多く変位が大きい骨折で動物は痛くても負重しようとします、そのためさらに変位が大きくなったり手術してもインプラントの破綻につながります。また骨折が多いトイプードルを始めとするトイ種は8割が橈尺骨の前肢がほとんどで骨が細く、かつ筋肉を含む軟部組織が少なく血行自体が少ないため治りも悪く治療が難しく手術をする施設が少ないのはそのためなのです。また使用するインプラント自体が高価であり手術自体のプランニングが大事になり難易度や手術代も高い手術となります。

骨折の治療術式も複数あり、プレートによる内固定が主流ですが、その他に創外固定法、インターロッキングネイルや単独ではほぼ使用しませんが髄内ピンや外固定などを単独や組み合わせて治療方針を立てていきます。メインとなる内固定法ですが古典的な解剖学的癒合なのか生物学的癒合を目的にプランニングするのか、術後インプラントを除去するのかしないのかも考えて計画しなければなりません。それによって術後のレントゲン検査の評価もかわります。以上のことを考えていくつかのプランを想定してオペに入らなくてはいけなく骨折治療は術者の理解度や経験がとても求められる手術になります。


フロートプレート法とは

機器写真

プレートにはステンレス製やチタン製など強度や血行障害を起こさないような構造など各メーカーがこだわりを持って色々な特徴があり術者はその中で自分のニーズに合ったものを選択できます。フロートプレート法では比較的強度が強くそのまま骨折治療に使用すると骨委縮が起きるかのせいがあるプレートを骨から浮かせて強度を落とし骨増生を強く誘発する(特に通常のプレート法では骨増生がでないプレート下にも生じる)生物学的癒合を目的にプランニングする術式です。設置したプレートの除去をするかしないのかは賛否両論あるのですが本術式はプレートを除去することを目的にしていることも特徴となっております。つまりプレート設置とプレート除去の2回の手術が必要になりますが本術式の目的はインプラントも除去して本来の姿に近く直すことを目的にしています。プレート除去はインプラントを浮かせているため簡便ですぐに除去することができ本来のプレートで除去をするときは2回くらいに分けてインプラントの強度を減らしていきますが本術式は一気に除去できるメリットもあります。適応には骨幅や年齢、骨折部位などで決めるためすべての症例で適応はできませんが適応できる場合は積極的に行っている術式です。

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